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トップインタビュー

佐藤 肇祐 氏(㈱セブンブレンチ 社長)2017年5月号掲載 


〈さとう けいすけ〉
1980年生まれ。札幌市出身。製造技術系企業に入社し、東日本の部門統轄を経験。2011年に30歳でセブンブレンチ創立。道内でのビジネス経験はなかったものの、現在では㈱セブンブレンチ、㈱セブンブレンチサポート、㈱ADLサポートのグループ3社総数で150名の従業員、札幌近郊で約30棟の高齢者住宅運営を手掛ける。
磨かれる〝うるおいブランド〟
育成・制度が成長率200%の原動力


 業界を取り巻く環境は依然厳しさを極めるが、創立から6年が経過した今もなお、ブレることのない企業理念のもと成長は持続。札幌近郊だけでも約30棟の高齢者住宅を手掛けるなど、〝うるおい〟ブランドの存在感は増す一方で、離職率の高い業態ではあるものの、年々増える従業員数は150名を超える。同社のノウハウ、ビジネスモデルに迫った――。



積み上げる事業でブレない企業構築

――創立から6年で従業員150名を超える企業となりました。これまでを振り返ると。
 参入した当初は「地域のインフラになる事業を展開したい」という想いが強くありました。それを実現させるには30~50年は〝崩れないビジネスモデル〟が必要で、それをつくりあげるには高単価のものを扱うより、単価の1番低いものを積み上げた方が良い。崩れないという事に拘り続け、ブラッシュアップしたものが現在のうるおいブランドです。
 ですが、創立当初のイメージでは、もう少し早く今の規模になると予測していました。とはいえ、従業員150名という有難い環境ができあがったのは、運となにより利用者の皆様と従業員、周囲の方々の助けのおかげですね。
――異業種からの転身ですが、〝不安〟のようなものはなかったのでしょうか。
 全く不安がなかったと言えば嘘になります。経営が軌道に乗るまでは、夜間のアルバイトをしたり、1日100件以上飛び込み営業をしたりと相当ハードな生活を送っていましたからね(笑)。
 ただ、事業を〝ノンアセット型・積み上げタイプにすれば、成功するという確信はありました。
 つまり、固定資産を大きく持つ事業ではなく時流に対し常に柔軟に変化していける事業を運営していく。かみ砕けば、ハードではなくソフト側の立ち位置で事業を運営するということ。加えて、営業スキルに起因しないビジネスをつくること、これがセブンブレンチのスタート時の考えでした。また、私の拘りとしてあるのは、世の中に必要とされているものをユーザーに押し付けない状態で扱うことです。それを積み上げて事業を構築すれば、収支の振れ幅が少ない企業になる。いろいろな不安との闘いでしたが、創業時からそこだけはブレずにやってきました。

連携強まるグループシナジー

――現在、福祉介護業界はさまざまな課題を抱えています。
 どの業界にも課題はあると思いますが、福祉介護業界は、廃業・倒産が顕著な分野と言えます。
 原因として考えられるのは、収益性を良くし、健全な事業を行うためのしっかりとした戦略や計画を立案、実行していないからでしょう。措置から介護保険へ移行した頃のままの感覚でいる、要するに制度に寄り掛かっているわけです。
 確かに報酬の減額は経営に大きく響いてきますが、社会保障制度の綻びはここ数年に起こったことではありません。対応は事前に予定されてしかるべきものです。報酬改定に一喜一憂するようでは、事業者の理念が疑われます。理念なき事業者は高報酬のサービスへ流れ、減額になると切り捨てる──、この流れで行き詰った事業者は数え切れませんが、そもそもこれでは地域の介護や福祉を担っている業態とは到底言えない。
 私たちは収益性の高い介護サービスであっても、事業として担うべきサービスなのかを議論し、疑問府がつくものは扱わない方針でこれまで歩んできました。つまり報酬の多寡に左右されない事業を展開し続けてきた。今後もこの方針を曲げることはありません。
――福祉介護業界は極めて離職率の高い業種ですが、当社の場合、離職率の低さが顕著です。
 私は常に働きやすい環境をイメージしながら会社の運営を行っています。企業成長率よりも人材の育成、制度づくり重視です。これらに重きを置くことで、従業員が自然と生き生き仕事をしてくれている。毎年成長率200%を達成できているのは、こういった従業員の頑張りによるものです。
――グループ内でのシナジー効果も現れています。
 そうですね。一例を挙げれば、高齢者住宅の清掃や福祉事業の記録のファイリングなどの庶務・雑務をグループの障がい者就労支援事業所に委託しています。お互いの事業連携が強まりますし、障がいを持たれた方がセブンブレンチのケアワーカーとして働きたいという意識改革にもつながりますから、グループシナジーの構築は必要と言えますね。
――最後に、佐藤社長にとって経営とはどういったものでしょうか。
 趣味ですね(笑)。私は幼いころいわゆるガキ大将で、毎日夜遅くまで、親に怒鳴られるまで仲間と遊んでいました。今は毎日従業員の悩みを聞き、運営を教え、共に走る──。幼いころと変わりはありません。遊びみたいなものですね。平たく言えばですよ(笑)。