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トップインタビュー

川多 弘也 氏(パッシブホーム㈱ 社長)2018年1月号掲載 


〈かわた ひろや〉 
北海道電力に勤務した経歴を持ち、2001年同社エネルギーソリューション部勤務を経て、11年パッシブホーム㈱設立。17年北海道TSUTAYAとの合弁会社アイビーデザイン㈱設立、取締役に就任。開発会社SPT.E.MAKIBA社長。
理念〝世界一の企画会社〟CCCとタッグを組んだ
パッシブホーム社長・川多弘也氏の展望とは


 特許『パッシブ自然換気システム』を有し、空調動力を極力使用せずにどこにいても全室暖かく、究極のエコ住宅を創造する建築ベンチャーのパッシブホーム(川多弘也社長)が2017年、カルチュア・コンビニエンス・クラブ(CCC、東京)傘下の北海道TSUTAYA(札幌)と共同出資会社アイビーデザインを設立。その目的は18年夏頃、江別市牧場町に開業予定の「江別蔦屋書店」の運営と地域創生だ。今回は、そんな川多弘也社長の展望に迫った―。



「江別蔦屋書店」18年夏頃開業予定

――いよいよ待望の「江別蔦屋書店」が2018年夏頃、開業予定ですね。
 17年の主軸は、ほとんど江別蔦屋書店の企画・開発に注力していました。我々は近年、“超効率建築ベンチャー”を国内外に発信していて、『パッシブ自然換気システム』など事業の核となる研究開発とプロモーションに特化しています。そうしたなか、施工や営業などはすべて信頼のおける世界中のパートナー企業と強力なタッグを組ませていただき、スピード感はもちろん、より高品質な建築物を今回の江別の開発事業で実現させることができました。
 事業計画地は江別市牧場町に位置し、飛鳥山公園の西側に広がる約4万3000平方メートルの北海道電力の社宅跡地です。大きく3つの工区に分けられ、第1工区の蔦屋書店の延床面積は約4735平方メートル。「食」「知」「暮らし」の3棟で構成され、「知」の棟は中央に位置する重量鉄骨2階建ての建屋に蔦屋書店のほか、有名コーヒーショップなどが入る予定です。
 ほかの2棟は平屋で、ハワイで大人気を博す日本初上陸のレストランや、こだわりのパン屋などが入った「食」の棟と、アウトドア用品店や知育玩具などを豊富に揃えた「暮らし」の棟があり、これら3棟を通路でつなぐことで回遊性を高めています。
――住宅棟とオフィス棟について教えてください。
 第2工区の宅地は約1万平方メートルで、第1工区同様に特許『パッシブ工法』を全戸に取り入れたアパートやマンション、一戸建てと全90世帯分を計画中です。特にアパートはメゾネットタイプでクォリティも高い。寒冷時期においても、月1万円ほどで光熱費が収まるように究極のエコ住宅を設計しました。
 オフィス棟が建ち並ぶ第3工区は現在、4棟建築予定で、駐車場と合わせて約1万9000平方メートル。信用調査会社の力を借りながらIT系企業の誘致に目下注力しています。純利益1億円以上の企業1000社に声を掛け、そのうちの15%から「興味あり」という回答をいただきました。道内だけでなく、道外からも移住が促進されることで、第3工区に入居される顔ぶれ次第では、さらに江別のまちが活気づく可能性が期待できます。
 第2工区、第3工区ともに江別蔦屋書店開業と同時期から随時、竣工予定です。
 江別蔦屋書店は、北海道TSUTAYA(梅谷知宏社長)さんと当社の合弁会社アイビーデザイン(江別)が運営します。また、デザインはヒココニシアーキテクチュア(小西彦仁代表)さんにお願いしました。

CCCと共通するパッシブホーム

――エネルギー量50%削減が難題だとお聞きしました。
 江別蔦屋書店に限って言えば、環境省から約1億7000万円の補助金が助成されます。これには、建物において50%のエネルギー量を削減しなければならないという厳格なルールを達成しなければなりません。建築業に携わる方ならご承知でしょうが、一般のビルならまだしも、商業施設でのエネルギー量の削減は、本当に難しいんです。
 この難題について、私は旧知のエネルギー関連の仲間たちと取り組み、資料を作成の末、採択・許可を得ました。全国的に見ても快挙と言えるでしょう。竣工後、3年間はデータを集め、関係機関などに随時公表します。
――「江別蔦屋書店」開業で何が変わりますか。
 いま江別の人口が約12万人いるなか、大学生がおよそ1万人いると聞きました。その大学生らは卒業後、札幌や道外に就職する人がほとんどのようです。そうした有望な人材の流失を抑えるとともに、周辺に大型書店がなかったことから、施設が開業することで週末を中心に集客が見込め、地域活性化に繋がると見ています。
 ちなみに道内で、CCCが運営に関わる「函館蔦屋書店」はいま、200人ほどの雇用を生んでいるのです。
――今後の展望について。
 CCCが提唱するいくつかの理念のなかに「世界一の企画会社」というのがあって、当社が企画した江別の持続可能なまちづくり計画も「ロケーションも最高で非常に面白い!」と言ってくださいました。私のなかで大きな自信と糧になりました。
 そんななか、今後は太陽光パネルに積もった雪を落とす『スノースルー』の開発やオフィス用品などの販売のほか、ハワイのアロワナショッピングセンターとディズニーリゾートホテルの間に建設予定の鉄道の新駅に関するコンサルティング業務など、パッシブ建築技術のノウハウを世界に広めていきたいです。