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  男と女の事件簿

乾いた心と体 教え子に癒しを求める
【O市発】□月■日、道教委はかつて教え子だった男子高校生と性的関係を持ったO市内の公立中学の女性教諭(42)を懲戒免職とする処分を発表した。2人はO市内の駐車場に停めていた自家用車内や隣町の温泉ホテルなどで密会を重ねていた。教諭は「お互いに好意があり、感情に流されてしまった」と話していたという。

 どこで間違ってしまったのか。裕子は芳樹と体を重ねるたび、自責の念にかられてしまう。当然だ。教師である自分が教え子と一線を越えてしまったのだから。
 ここは2人が住むO市の隣町の温泉街。紅葉の季節も終わった閑散期。2人は親子と名乗って泊まった。裕子は42歳。芳樹は16歳の高校1年生。疑う者はいなかった。
 裕子は心に決めていた。これでお仕舞いにしようと。
 しかし、それも揺らいでしまう。それほど芳樹と体の相性があった。童貞だった芳樹だが、裕子を抱くたびに心憎いほどのテクニックを覚えた。天賦の才といっていい。
 今しがた終わった行為でも、何度も絶頂を味わった。キスから始まり、乳房への愛撫、そしてクンニ。甘えるように優しく、時には激しい舌遣いで裕子は何度も体を痙攣させ、芳樹が中に入ってきた時は自ら抱きつき、夢中で腰を振った。
 裕子にしても男性経験がないわけではない。しかし、これほど感じさせてくれた相手はいなかった。区切りをつけようと旅に誘ったが、結局、別れられない。
「もう1回」。裕子は芳樹を口に含み、せがんだ。


 裕子は芳樹が昨年まで通っていた中学の教師。芳樹が3年生の時、担任だった。再会したのは今年の夏。学校帰りにたまたま寄った喫茶店で芳樹がアルバイトしていた。
「勉強ばかりしていた芳樹君がアルバイトなんて、驚いた」
「ここは叔父さんの店。これも社会勉強ですから」
 半年も会わないうちに大人びたことを言うようになっていた。
「勉強は大丈夫なの。弁護士になるのが夢だったわよね」
「センセイ、いつまでも子ども扱いはやめてください。それよりも、せっかくの夏休み、恋人のところにいかなくてもいいんですか」
 芳樹は痛いところを突いてきた。確かに3年間、付き合っていた遠距離の恋人はいた。しかし、ちょっとしたすれ違いから5月の連休にけんかして、そのまま別れてしまった。
「振られてしまったのよ」
 泣きたいくらい傷ついていたが、それを悟られまいと、努めて明るく振る舞った。
 その時、芳樹が漏らした言葉が裕子の乾いた心を揺さぶった。
「センセイみたいな、素敵な女性を振るなんて。僕だったら、ずっと大事にするけど」
 その日は夏休みの終わりで、夕方から降り出した雨が激しさを増していた。
 喫茶店を出ようとした時、マスターが声をかけてきた。
「芳樹を車で送ってくれないかい」
「家庭訪問で行ったこともあるし、同じ方向だからいいですよ」  車内での芳樹は無口だった。ほどなく、自宅近くまで着いたが「降りたくない」と駄々をこねた。
「どうしたの、ウチに帰りたくないの」
「センセイがかわいそうだ」
 そういうなり、芳樹は運転席の裕子にキスしてきた。震える姿が初々しい。その一途さに裕子も抗しきれず、2人は近くのモーテルに入った。
「いけない」。頭の中でそう繰り返しても、やはり、熟れた体が疼く。ぎこちない愛撫にさえ、乾いた体は反応した。
「私みたいな、おばさんでもよかったの」
「センセイにずっと憧れていた」
 そんな芳樹の言葉に裕子は少女のように胸が高鳴った。以来、2人の関係は深まっていった。


 2人の異変に気付いたのは芳樹の母親だった。2学期になってから芳樹の帰宅時間が極端に遅くなったからだ。理由を聞いても、息子は言葉を濁すだけ。
 だが、小さなマチである。毎晩のように2人が会っていたら、噂にもなる。当然、母親の耳にも入ってくる。息子あてのメールをひそかに読み、噂は真実と確信した。
 母親が怒ったのも無理もない。離婚して以来、芳樹を女手一つで育ててきた。その大事な一人息子の相手が教師、それも自分と同年配。許すことはできなかった。
 母親はすぐさま、中学校に乗り込み、校長立ち合いで裕子をののしった。裕子は性的関係を否定したものの、「今後、一切会わない」と約束させられた。
 でも、2人は会い続けた。この種の話は周囲に反対されればされるほど燃え上がる。真面目な人間ほど、そうだ。
 言うことを聞かない2人。いら立つ母親の堪忍袋の緒が切れたきっかけは芳樹と中学時代、クラスが一緒だったという女子高校生からの電話だった。
「芳樹君、スーパーの駐車場の車の中で先生と一緒にいました」
 どうやら、女子高生は芳樹に好意を抱いていたらしい。裏切られた気持ちから電話をかけてきたようだ。
「何をしていたの」
「キスしてました」
 母親は電話を切るや、警察に「高校生の息子が中年女に誘拐されそうです」と通報。署員が駐車場に駆け付け、裕子は連行された。 

(実際にあった事件をヒントにした創作です)